生前贈与と相続:財産をどう分けるかのポイント – 遺品整理・生前整理
生前贈与と相続:財産をどう分けるかのポイント – 遺品整理・生前整理の視点から
大切なご家族へ財産を引き継ぐ方法は、相続だけではありません。生前贈与を上手に活用することで、ご自身の意思をより反映させながら、円滑な財産承継を実現できます。今回は、生前贈与と相続のそれぞれの特徴を、遺品整理や生前整理の観点も踏まえながら解説します。
生前贈与のメリット・デメリット
生前贈与とは、ご自身が生きているうちに、ご自身の財産を特定の相手に無償で与えることです。
メリット
- 贈与者の意思が反映されやすい: 「この財産はあの人に」というご自身の希望を、ご存命のうちに確実に実行できます。
- 財産の使い道を贈与者が確認できる: 贈与された財産が、受贈者にとって有益に使われるのを見届けられるのは、大きな安心につながります。
- 相続人間のトラブル防止: 複数の相続人がいる場合、生前に財産を分けておくことで、相続発生後の財産分割を巡る争いを未然に防ぐ効果が期待できます。
- 計画的な節税対策: 贈与税には年間110万円までの基礎控除があり、この範囲内であれば贈与税はかかりません。長期間にわたって計画的に贈与を行うことで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
デメリット
- 贈与税の負担: 基礎控除を超える贈与には贈与税が発生し、相続税よりも税率が高くなる場合があります。
- 特別受益による調整の可能性: 特定の相続人に多額の生前贈与が行われた場合、相続発生時に「特別受益」として扱われ、他の相続人との公平を図るために遺産分割で調整されることがあります。
- 相続開始前3年以内の贈与の持ち戻し: 相続開始前3年以内に行われた贈与は、相続財産とみなされ、相続税の計算対象となる場合があります(2024年以降は7年に延長される予定です)。
相続のメリット・デメリット
相続は、亡くなった方の財産を、法律で定められた相続人が引き継ぐことです。
メリット
- 相続税の基礎控除が大きい: 相続税には、「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」という大きな基礎控除があります。生前贈与よりも税負担が軽くなるケースが多いです。
- 遺産分割協議で柔軟な対応が可能: 相続人全員の合意があれば、遺言書がない場合でも、相続人同士で話し合って遺産分割の方法を決めることができます。
デメリット
- 遺産分割協議がまとまらないリスク: 相続人同士で意見が対立し、遺産分割協議が難航する可能性があります。
- 相続人の負担: 遺品整理、不動産の名義変更、預貯金の解約など、相続発生後の手続きは多岐にわたり、相続人にとって大きな負担となる場合があります。
- ご自身の意思が反映されにくい場合も: 遺言書がない場合、民法の規定に基づいて財産が分割されるため、ご自身の希望が完全に反映されない可能性があります。
遺品整理・生前整理の視点から考える財産の分け方
財産をどう分けるかを考える際、遺品整理や生前整理の視点を取り入れると、より具体的なイメージが湧き、スムーズな財産承継につながります。
生前贈与と生前整理の連携
生前贈与は、まさに生前整理の一環と捉えることができます。例えば、「この絵画は孫に譲りたい」「この家具は娘に使ってほしい」といった具体的な品物について、ご自身の意思があるうちに贈与を行うことで、後に残されたご家族の遺品整理の負担を軽減できます。
また、生前贈与する際に、贈与する品物の状態を整えたり、関連する書類を整理したりするのも良い機会です。これにより、受贈者も気持ちよく財産を受け取ることができます。
相続と遺品整理の連携
相続の場合、遺品整理は相続人にとって大きな仕事になります。故人の思い出の品々を整理しながら、相続財産とそうでないものを区別し、必要に応じて相続人同士で分け方を話し合う必要があります。
遺言書を作成する際に、特定の財産(例えば「Aの預金は長男に、Bの不動産は長女に」といった具体的な指示)を明記しておくことで、遺品整理時の混乱を避け、相続人の負担を軽減できます。また、遺言書には遺品整理に関する希望(「この思い出の品は○○に譲ってほしい」「不要なものは処分してほしい」など)を付記することも可能です。
まとめ:あなたに合った財産の分け方を見つけるために
生前贈与と相続、それぞれにメリット・デメリットがあります。どちらの方法を選ぶか、あるいは両方を組み合わせて活用するかは、ご自身の財産状況、ご家族構成、そして何よりも「どのような形で財産を次世代に引き継ぎたいか」というお気持ちによって異なります。
大切なのは、ご自身の意思を明確にし、早めに準備を始めることです。税理士や弁護士、司法書士などの専門家と相談し、ご自身の状況に合った最適な方法を見つけていきましょう。
関西での遺品整理・生前整理・ごみ屋敷片づけは、メモリアルサポートにご相談ください。
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